合理的配慮のために~「不合理」を乗り越える①~

少しばかり堅い話になるかもしれませんが、「合理的配慮」の実践のためには、合理的と言いつつ乗り越えていかなければならない「不合理」があります。最初の法律の細かい文言などは読み飛ばしながらで大丈夫ですから、しばらくお付き合いください。

平成28年4月に施行された『障害者差別解消法』の第3章七条に「合理的配慮」について、以下の通りに記載されています。

2 行政機関等は、その事務または事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合においてその実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

合理的配慮についての具体例としては、

(ア)教員、支援員等の確保

(イ)施設・設備の整備

(ウ)個別の教育支援計画や個別の指導計画に対応した柔軟な教育課程の編成や教材等の配慮

などがあげられています。

しかしながら、(ア)と(イ)は予算や人事が絡むことですから、一般の先生方だけでは手に負えるものではありません。

つまり、(ウ)の個別の教育支援計画や個別の指導計画に対応した柔軟な教育課程の編成や教材等の配慮がまさに、現場の先生方の仕事になります。

合理的配慮の事例については、共通そして障害種別にさらに細かくあげられています。(一部)

バリアフリー・ユニバーサルデザインの観点を踏まえた障害の状態に応じた適切な施設整備

・障害の状態に応じた身体活動スペースや遊具・運動器具等の確保etc.

上の共通の部分に「バリアフリー」や「ユニバーサルデザイン」などのキーワードが出てきますので、これらに関しての研修を承る機会が多いことになります。

さて、「合理的配慮」の一つ目の乗り越えていかなければならない不合理なポイントは「行政機関等」の中には、公立学校も含まれるという事実です。

つまり、公立学校においては、「合理的配慮」は法的「義務」になったということです。

私立学校や民間企業の場合は、「合理的な配慮をするように努めなければならない」とされていますから、こちらは「努力義務」であってこの差は大きく「不合理」ではないか、との声も聞こえそうです。

教育の自由という観点からも私立学校に強い規定ができないこともあるようですし、すべてとは言いませんが、私立学校においては、学校経営の維持、定員確保のために自ずと努力していく学校園も多いはずです。また、教育の原点からもそうあって欲しいと願っています。

つまり、保護者の皆さんから、「先生、我が子の個別の教育支援計画や個別の指導計画はどのようになっていますか?」「どのように合理的配慮をされていますか?」と尋ねられて、「あわわわ…」となっているようでは、困るわけです。

「先生、法律違反ですよ!」って言われてしまいますから…

続きはまた!

笑顔で 元気に 逞しく!

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