教室に入らない(入れない)子どもたち①~「愛の無視」とは…~

某小学校の教室巡回指導の後、いただいた某先生からのメールによるご相談です。

最近、教室にいることができず、遊具にいる子供たちが4、5人います。その子たちとどう関わるのがいいのか、悩んでいます。先生から学んだ「愛の無視」を続けるのがいいのか、声をかけて、教室に戻すことを促す方がいいのか。今のところ、遊具に複数人いる場合は、声をかけて教室へ戻すことは、うまくいかないことの方が多いです。が、遊具にいるのが一人の場合は、教室へ戻すことができる時もあります。教室へいることが難しい児童たちなので、「勉強が分からない。」や「集団でいることがしんどい。」という根本的な原因をどうにかしてあげるのが本当は一番大切だとは思うのですが…。

近年は、教室に入れない子どもたちも多く、このような悩みを持っておられる学校もたくさんあるのではないかと思います。

さて、この先生が書いておられるように「根本的な原因」に適切な対処をしていくことが、一番大切であることは言うまでもないことです。

では、その根本的な原因とは何か。この先生が書いておられるように、子どもたちが「勉強が分からない」或いは「集団でいることがしんどい」などは、どのような要因があるでしょうか。

それらを認知や心理の視点、脳科学の側面などから我々が学び続け、より広く深く子ども理解の力を高める必要があります。

それでは、それらの「子ども理解」の上で、「愛の無視」をするのが良いのか?声をかけるとすればどのような声かけをすれば良いのか?

また、遊具に複数人いると教室に連れ戻すのは難しいけれど、一人だとなぜ取れ戻しやすいのか?等々、今回のこのご相談には、実に多くの学びの要素がちりばめられています。

そこで、今回は基本に立ち返って最初にこの「愛の無視」について、脳の仕組みや心理の側面等からお話したいと思います。

授業中に歩き回る、ずっと私語をして喋っている等々、子どもたちが何某かの不適切な行動をした時、脳(危機管理をしている扁桃体周辺のネットワーク)の健康状態が良い先生はすぐに気がつきます。もし、すぐに気がつかないような場合は、脳がかなり疲れていると言えます。

実は脳が健康で反応の良い先生は、気がつくと、すぐに注意をしたり指摘したりできます。しかし、これを日々やっているとあの小さな教室の世界にはどんどんマイナス(ー)が蓄積されていきます。

どう言うことかというと、心理学的には「注目した行動が強化される」からです。

もし、教室を飛び出していく子どもの中に、「愛着形成」の課題を抱えている子どもが居るとすると、その子どもは「不適切な行動をすることで、自分に関心を持ってもらいその大人を独り占めにできる」ということを学んでいる可能性が極めて高いのです。

不適切な行動をすることで、相手に関心を持ってもらえるという誤学習をしてしまうと、段々とそれらの不適切な行動はエスカレートしていきます。

つまり、注意した(指導した?)筈なのに、どんどんと状況は悪くなるのです。

さらにその子どもの他にも、周囲に同じような「愛着形成」の課題を持っている子どもが居ると、自分もそうやれば、関心を持ってもられることを学びますから、子どもたちの不適切な行動を注意したり叱ったりを煩雑にやっていると「モグラ叩き」のような状況が生まれ、それらの行動はますます強化されていきます。

こうして、学級が機能しなくなる一つの要因にもなってしまします。

しかしながら、先生方の脳は健康で危機管理の仕組みが働いているので、不適切な行動は目に飛び込んできます。

つまり、見えている聞こえているけど、敢えてスルーしなければならない。

だから、「愛の無視」は口で言うほど簡単ではなく、とても難しいのです。

でも、「愛の無視」ができるようになると、教室に不用意に(-)情報をばらまかないので、教室は安定します。

でもでも、それだけではまだちょっと足りない…

続きは次回に!

笑顔で 元気に 逞しく!

ステキな学校・学級をつくるため 自分の歩幅で、前進していきましょう!

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