合成の誤謬

大学に来させていただいて、12年目になりました。

有難いことに、毎年巡回指導として多くの学校園を回らせていただき、たくさんの子どもたちとの出会いと、子どもたちのために一人ひとりを大切にとの思いでがんばっておられるステキな先生方との出会いは宝物に思えます。

有難いです。感謝しています。<(_ _)>

さて、教室に入る時は、後ろから子どもたちを(一瞬ですが)ざっと見て、教室後方の子どもたちの作品(掲示物)をまずチェックします。

作品をチェックしていると、衝動性や注意の転動、自閉度、不器用さ、心の状態、学力等々子どもたちの様々な情報が飛び込んできます。中には、

「この子は、この授業についていくのは、難しいだろうなぁ。」

「それでも、よくがんばって我慢して座ってるよなぁ。」

と胸が痛くなるような子どもにも出会います。

ところが、その心配な子どもたちが授業中に手をあげて

「先生、ここわからへんから教えて~」

と質問したり発言したりする場面に出会ったことはありません。

授業はいつも「同じ課題をみんなで一緒に同じペースで進められるものだ」と、先生も子どもたちにも強いバイアスがかかっていますから、先生も一人ひとりを大切にと思いつつも、結果的に困っている子どもを放置している状態になっています。

困っている子どもの方も、全然授業内容が分からなくても、みんなの邪魔をしないように忖度して健気に座ってくれているのでしょう。

自分の経験からも、本当に勉強に困っている子どもに一斉授業のペースを合わせたら、決められた内容を進めることができないので、何とか授業について来れる子どもに照準を合わせるという授業のイメージを持っていました。

それでもできないので、放課後や休み時間に個別の指導をしようとしますが、やっぱりそれらの困っている子どもたちはそれをとても嫌がるものです。

一人ひとりを大切にと分かっているのに、一番肝心の日々の授業はそのように設計されていない!

きっと、「一人ひとりを大切に」という言葉は正しい。

きっと、「みんなで一緒にがんばろう」という言葉も正しい。

しかしもうそろそろ、何でもかんでも『みんなで一緒に、同じ課題を、同じペースで進める授業』の方は、卒業したいものです。

笑顔で 元気に 逞しく!

ステキな学校園・学級をつくるため 自分の歩幅で、前進していきましょう!

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