視点をちょっとずらして…

教室巡回指導で出向いた高校の先生からのご相談です。

男子の生徒さんですが、「こだわりがあって、周囲とコミュニケーションが上手くとれない。文字が不器用で個性的すぎる。将来は教師や弁護士になりたいと言っているがそれは本人の希望ではなくご両親の強い希望である等々」様々なご心配をされていました。

その生徒さんが書いた文字を見せていただきましたが、

「あぁ。確かに丁寧に書いているけれど、自閉度のありそうな文字だ」と一目でわかりました。(教室巡回指導で、子どもたちの掲示物などから指摘をすると、先生方から「なぜ、自閉度があることがわかるんですか?!」と驚かれることがありますが、これがなかなか上手く説明できないものですから…詳細は後日に譲りたいと思います。)」

相談された先生は、ご心配のあまり、「この字では先生の仕事は無理なんじゃないか」と本人に話をしてみたり、「字の練習」をしたりと、きめ細かく指導をされていました。とても生徒思いの良い先生だなぁと感心しました。

確かにこの男子生徒の姿勢を見ていると、首や背中に固さを感じましたがそれ程ひどい訳でもなく、授業をされている先生の言葉に、微笑んだり頷いたりする反応ができていたので、そこまで強く自閉度を心配をする必要はないかもしれないことをまず、お伝えしました。

それよりも、「丁寧に作業ができる力があること」や「先生の指示や発言に的確に反応できるコミュニケーションの力があること」など、少し視点をずらして「良い点」に目を向けることが望ましいことをお伝えしました。

これまでの関わりの中で、担任の先生は本人ではなく保護者の希望や意向で進路を決めていると理解されており、生徒をよく理解されていることは素晴らしいと思いました。

只、その心配が確かにその通りだとしても、そもそもこの先のことは誰もわからないものであり、もし行き詰った時に、自分が先生方から適切に評価を受けたことで、「これは自分はできる」、「これは得意だ」と思えることがあれば、そのことがその学生を救う可能性があるかもしれないのです。

すると担任の先生は、この生徒は「動物の精密画を描くことがとても得意だ」と教えてくださいました。そうであるならば、もっともっとその点を共感し喜び、褒めるようにしてほしいのです。

我々教師は、ついつい心配のあまり、マイナス面に目を向けがちです。でも、マイナス面を何とか修正していくことは大切なことではありますが、不得意なことを改善するのはエネルギーも何倍も必要ですし、とても難しいものです。

繰り返しますが、未来のことは誰もわかりません。しかし、その共感されたことが将来、彼を救うかもしれないのです。

笑顔で 元気に 逞しく!

ステキな学校・学級をつくるため 自分の歩幅で、前進していきましょう!

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