二つのトラブル

過日、某幼稚園の公開保育を参観しました。

その後、指導助言と講話をさせていただいたのですが、公開保育の時に興味深い二つの子どもたちのトラブルがありました。

一つ目のトラブルは、楽しい音楽に合わせて何人かで踊っていたグループがあったのですが、一人の男の子の手が、もう一人の男の子に当たってしまってケンカになったのです。

一人の先生がこの二人から丁寧に事情を聴いているのですが、どちらも上手く説明ができないので、話がなかなか進みません。

それでも、故意ではなく手が当たってしまったことは、二人ともどうにか納得したようで、当たってしまった子どもの方が「ごめんなさい。」が言えて、何とか話をまとめました。

二つ目のトラブルは、別の二人の男の子なのですが、どうも一人が順番を抜かしたということで、揉めています。こちらも一人の先生が丁寧に話を聴いているのですが…一人の男の子の方が、「〇〇くんな~この前もな~~~」と言い出しました。

すかさず先生は「前のことではなくて、今のことを話しましょう。」と助言をして、トラブルが解決するよう導いていました。

同じように見える子どもたちのトラブルなのですが、困っている子どもたちの特性が出ていてとても興味深いものでした。

たまたまだと思いますが…一つ目のトラブルの二人の子どもたちはどちらも特別な支援が必要だと、園の方で気にかけて指導・支援を続けている二人で、二つ目のトラブルの子どもたちは、いわゆる定型発達と考えられる二人でした。

困っている子どもたちの中には、聴覚に課題を持つ子どもたちがいます。聴覚は「音」との関係が深く、時間の感覚とも密接に結びついています。(音はすぐに過去の彼方に消えていきますから…)

特にADHDタイプの子どもたちの中には、ワーキングメモリーが少ない子どもたちがいます。記憶の保持が苦手ですぐに忘れてしまうので、何某かのトラブルがあった時に、順序だてて説明することが極めて苦手なのです。

それを知らないで、なぜ?なぜ?と追及すると、今ここのピンチ(追及されていること)から逃れるためにウソをついてしまうことも起こりかねません。

一方、定型発達の子どもたちのトラブルでは、一人の子どもが過去のことを持ち出して、窮状を訴えようとしていました。

今のトラブルとは関係ないことかもしれないので、褒められはしないのですが…発達の面から考えると、なかなか大したものとも言えるのです。

子どもたちの発達特性を学ぶことは、こうしたトラブルの時にもより冷静に関わっていくための基本になると思います。

笑顔で 元気に 逞しく!

ステキな学校・学級をつくるため 自分の歩幅で、前進していきましょう!

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