本当は子どもたちが居る時に巡回したいのですが時間の都合上、子どもたちが帰った放課後に、教室巡回指導をさせていただくことがあります。
子どもたちを直接見ていない場合は、先生方のより良い指導に繋げていただきたいと願いつつ、子どもたちの掲示物から見えてくるプロフィールをお話しています。
さて、ある小学校の2年生の教室での質問です。
その教室には、書き方(硬筆)のプリントが掲示してあり、先生が一字一字丁寧に赤ペンで〇を付けていました。
その掲示物からプロフィールを読み取っていた時、担任の先生から質問を受けました。
「花丸をつけると子どもたちはとても丁寧にやるのですが…だんだんとモチベーションが下がってくるような気がして…どうなんでしょう。」
これも、良い質問ですよね。
行動経済学上でも、「報酬」で人を動かそうとすると、最初はがんばるけれど時間が経つにつれ、結果的にモチベーションが低下することはよく知られています。
「花丸」をつけると、確かに子どもたちは喜ぶのですが、その「花丸をもらうこと」が目標になると、学習本来の目的からズレが生じてきます。
質問してくれた担任の先生に、尋ねました。
「この掲示してある書き方のプリントのめあては何だっけ?」
「えっと…………」(ここで意地悪になってはいけませんので…)
すぐに、書き方のプリントの最初にちゃんと書いてあることを伝えました。
⇒「はらい」や「ハネ」に気をつけて書きましょう。
先生は、せっかく、一字一字丁寧に〇を付けているのですが、今回の「書き方」の目標にそって付けた〇になっていないのです。
子どもたちがきれいに書いた字、がんばって書いた字に〇を付けているのです。(勿論、これにも大切な意味があります。)
つまり、本来の目標(「ハネ」や「はらい」に気をつけて書く、つまり字が少しずつ上手に書けるようになる)と、先生の付けた花丸という「評価」(「報酬」)がズレている可能性があるのです。
ここを整えるためには、先生の〇付けが、「はらい」と「ハネ」に焦点化される必要があります。
そして、そのことが子どもたちと共有されていることが大切です。
ですから、子どもたちの文字が少々歪んでいても、枠からはみ出していても、「払い」と「ハネ」が見事にできていたら、その部分に〇を付けるのです。
先生も、子どもたちも同じように「目標」を共有できているということは、つまり子どもたちは「花丸」をもらうことだけではなく、自分の「成長」にフォーカスできるということです。
それは、即ち「より良く生きたい、成長したい」という子どもたちの本能の部分を刺激することになりますので、「報酬」によるモチベーションが上がるや下がるのレベルの話ではなくなるのです。
「たかが〇付けなんですが…されど〇付け」ということで、こういう些細なことが大差になるのでしょうね。
それでは、また!
笑顔で 元気に 逞しく!
みんなで一緒に、ステキなクラスをつくりましょう!
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