「教科担任制」の是非について、ご質問をいただくことがあります。
最初に申し上げると「教科担任制」について、私自身はニュートラルで賛成でも反対でもありません。
本来、小学校において「教科担任制」を実施する時、子どもたちに「中学校のシステムに慣れてもらうこと」「より専門性を高くして、質の高い授業を提供すること」などを目的とされていると思います。
ところが、実際にこれまでご質問をいただいた何人かの先生方の場合は、その背景に一つ或いは複数の学級が機能しなくなり、担任と子どもたちとの関係が思わしくないので、「担任以外の指導者が授業をする場面を増やし、少しでも子どもたちに落ち着きを取り戻そう」というねらいで取り組まれている場合が多いようです。
残念ながらこの場合は、何とかその場をしのいでやり過ごしたいという、消極的な逃げの手だてのように見えます。
ある「教科担任制」の研究指定を受けて実際に取り組んだ小学校では、3学期になって「いじめ」の問題が発覚して困っているという話も伺いました。
これは至極当たり前のことで、小学校低学年の子どもたちであっても「いじめ」は良くないことだと自覚していることもあって、教師や保護者の見えないところで行いますから、表面だけ子どもたちとふれ合っているだけでは、早期に発見することは極めて難しいと言えます。
もし、その要因の一つが「教科担任制」によって、きめ細かく子どもたちと関わっていくことが疎かになっていることだとしたら、本末転倒ということになります。
これまで通り「学級担任制」をとるにしても「教科担任制」をとるにしても、学級づくりにおける最も大切な基本は子どもたちとのコミュニケーションです。
この最重要課題を無視して、「中学校に慣れる」「専門性を生かす」というのは、的が外れています。
なぜなら、機能しなくなったクラスでは、実際に授業もままならないからです。
つまり「教科担任制」をとることは良いが、子どもたちを見ていくときの視点の共有やより緻密な教員同士の情報共有など、高度なチームティーチングのスキルが必要とされます。
その覚悟を持って、積極的に取り組むのであればきっと子どもたちの成長につながるにちがいありません。
笑顔で 元気に 逞しく!
みんなで一緒に、ステキなクラスを作りましょう!
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